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プロが試合後にビールを飲む理由、あなたが飲んではいけない理由

試合後のビール、練習終わりの一杯。スポーツをしている人なら、誰もが経験する至福の瞬間ですよね。私自身もランニング後のキンキンに冷えたビールは格別だと感じています。

でも、テレビでプロアスリートが試合後に笑顔でビールを飲んでいる姿を見て、「プロも飲んでるなら大丈夫じゃない?」と思ったことはありませんか?実は私もそう思っていた一人です。

今回は、アスリートとアルコールの複雑な関係について、科学的な根拠と実体験を交えながら深掘りしていきたいと思います。

目次

アスリートとアルコールの意外な関係性

スポーツとお酒の関係は、思っている以上に深いものがあります。マラソンの優勝者が冷えた一杯でゴールを祝う光景は世界中で見られますし、プロチームが酒造メーカーとスポンサー契約を結ぶことも珍しくありません。アマチュアスポーツでは「ビアリーグ」という言葉さえあるほどです。

私が驚いたのは、ある市民ランナーの方の体験談です。レース前日に缶ビール4本を飲んで「翌日はとても走れないだろう」と思いながらスタートしたのに、年代別で表彰されるという結果になったそうです。ランネットのコミュニティにはこうした実体験が数多く寄せられています。

こうした事例を見ると、「アルコールって本当に悪いの?」という疑問が湧いてきますよね。

なぜプロの「一杯」と一般の「一杯」は意味合いが異なるのか

ここで重要なポイントがあります。プロアスリートと一般のスポーツ愛好家では、飲酒の意味合いが根本的に異なるということです。

プロアスリートには専属の栄養士がついており、飲酒のタイミングや量、前後の栄養補給まで綿密に管理されています。試合後の一杯も、実は計算されたものだったりするんですね。彼らの体は長年のトレーニングで基礎代謝も高く、アルコールの代謝能力も一般人とは違うと考えられます。

さらに、プロは試合後に数日間の休養期間を確保できますが、私たち一般のスポーツ愛好家は翌日も仕事があり、週末にはまたトレーニングというサイクルを回していますよね。この違いは大きいと感じます。

プロアスリートが試合後にビールを嗜むときに語られる主なメリット

では、アスリートが飲酒することで得られるメリットはあるのでしょうか?実はいくつかのポイントがあると言われています。

激戦後の精神的なリラックスとストレス解消としての役割

適量のアルコールには、副交感神経を優位にする働きがあります。試合中の体は極度の緊張状態にあり、交感神経がフル稼働しています。私も大会後はなかなか興奮が冷めず、眠れないことがありました。

そんな時、軽い飲酒はリラックス効果をもたらし、精神的なストレスを和らげてくれるという側面があります。Athtritionのスポーツ栄養士によると、この心理的な効果は決して軽視できないものだそうです。

ただし、ここで注意したいのは、ストレス解消をお酒だけに頼ってしまうと、アルコール依存のリスクが高まるということです。あくまで「選択肢の一つ」として捉える姿勢が大切だと私は考えています。

胃液分泌や食欲を高め、食事からのエネルギー補給をしやすくする可能性

お酒を飲むと食欲が増す経験、ありませんか?これはアルコールが胃液の分泌を促進するためです。

激しいトレーニングや試合の後は疲労で食欲が落ちることがあります。そんな時、少量のアルコールが食欲増進剤として機能し、必要なエネルギー摂取を助けてくれる可能性があるんですね。

ただし、これは「食事が進まない時の最終手段」くらいに考えておいた方が良いでしょう。後述しますが、アルコールにはエネルギー補給の妨げになる側面もあるからです。

チームの結束力を高めるコミュニケーションツールとしての側面

これは科学的な効果というより、社会的な側面ですね。チームスポーツでは、試合後の飲み会がコミュニケーションの場として機能し、チームの一体感を高めることがあります。適度な飲酒の社会的メリットは確かに存在します。孤独感の解消やチームワークの向上は、長期的なパフォーマンス維持にもつながると考えられます。

ただし、これも「飲まなければならない」理由にはなりません。ノンアルコールでも同じコミュニケーション効果は得られるはずです。

一般のスポーツ愛好家が運動後の飲酒を控えた方がよい科学的な理由

ここからが本題です。運動後の飲酒には、実は多くのデメリットがあることが科学的に明らかになっています。

筋肉の回復段階でタンパク質合成を低下させる可能性

これは最も重要なポイントの一つです。2014年の研究では、運動後に飲酒すると筋肉の成長と修復に必要なタンパク質合成率が低下することがわかりました。

体重1kgあたり1.5g(体重77kgの人なら標準的なアルコール飲料8杯分)という極端な量での研究結果ではありますが、より少量での影響についてはまだ十分に研究されていないのが現状です。

私自身、筋トレ後に飲酒した翌日は筋肉痛が長引く気がしていましたが、これは科学的にも裏付けられる現象だったんですね。筋肉を増やしたい、強くしたいと思っているなら、運動後の飲酒は避けるべきだと考えられます。

アルコール代謝に伴うビタミンB群消費と疲労回復遅延のリスク

アルコールを分解する過程で、体は大量のビタミンB1を消費します。このビタミンB1は本来、疲労回復やエネルギー産生に使われるべき栄養素なんです。

つまり、飲酒することで「疲労回復に使うべきビタミンがアルコール分解に奪われる」という事態が起きるわけです。これでは翌日のトレーニングに支障が出るのも当然ですよね。

私が「飲んだ翌日は体が重い」と感じていたのは、このビタミンB1不足が原因だったのかもしれません。

利尿作用による脱水悪化と心血管イベントリスクの懸念

アルコールには強い利尿作用があります。運動で既に汗をかいて水分を失っているのに、さらにアルコールで脱水が進むのは危険です。

翌朝に水分補給をせずにトレーニングを始めてしまうと、脱水症状を引き起こす危険性があります。

特に夏場のトレーニングでは、この脱水リスクは命に関わる問題になりかねません。私も一度、飲酒した翌日のランニングで強い立ちくらみを経験したことがあり、それ以来気をつけるようになりました。

肝臓への負担増加とグリコーゲン再合成が後回しになる可能性

体内に入ったアルコールは、肝臓で解毒されます。ネバダ大学ラスベガス校のテッド・ジルアード氏が指摘しているように、「体はアルコールを毒とみなし、デトックスにエネルギーを消費する」ため、体の再構築のためのエネルギーが使えなくなります。

肝臓がアルコール分解に集中している間は、本来行うべき糖質の貯蔵(グリコーゲンの再合成)やタンパク質の合成が後回しになってしまうんです。これが疲労回復を遅らせる二つ目の理由とされています。

運動は体を一度破壊し、修復することで強くなるプロセスです。その修復が適切に行われないなら、運動の効果が半減してしまいますよね。

高カロリーな「おつまみ」による体脂肪増加のリスク

お酒だけでも問題なのに、さらに追い打ちをかけるのが「おつまみ」です。揚げ物、炒め物、スナック菓子、ピーナッツ…お酒と一緒に食べたくなるものって、高カロリー・高脂質なものばかりですよね。

アルコール自体が1gあたり約5kcalのエネルギーを持ち、これは糖質やタンパク質(1gあたり4kcal)より高カロリーです。しかもアルコールは優先的にエネルギーとして使われるため、おつまみから摂った脂質は余剰カロリーとなり、体脂肪として蓄積されやすくなります。

私も飲んだ翌日に体重計に乗って後悔した経験が何度もあります。これは単なる「むくみ」だけでなく、実際に脂肪が増えていた可能性が高いんですね。

パフォーマンス低下を防ぐためのお酒との付き合い方

「じゃあお酒は一切ダメなの?」と思うかもしれませんが、そうではありません。大切なのは「上手に付き合う」ことです。

飲酒前後に意識したい水分と電解質(ミネラル)の補給

もし飲酒するなら、前後の水分補給は必須です。GQ JAPANの栄養士ダニエル・チャベス氏は「アルコールを飲んだらそれと同量の水を飲む」ことを推奨しています。

具体的には、ビール350mlを飲んだら、水も350ml飲むという感じです。「グラス一杯のビールやワインを飲むときは、同時にコップ一杯の水を飲むよう心がけましょう」とアドバイスされています。

さらに、運動後はミネラル(電解質)も失われているので、スポーツドリンクで補給してから飲酒するのがベストだと私は考えています。

空腹時を避け、タンパク質と炭水化物を優先して摂取する工夫

空腹時の飲酒は、アルコールの吸収を早め、酔いが回りやすくなります。飲酒前に少なくとも6-10gのタンパク質と30-60gの炭水化物を摂取することが推奨されています。

私が実践しているのは、運動後すぐにプロテインとおにぎりを食べてから、1時間ほど空けて飲酒するという方法です。これだけでも翌日の体調がかなり違います。

特に炭水化物は重要です。「お酒を飲んだ代わりにごはんを抜く」のは大きな間違いです。トレーニングで消費した筋肉中のグリコーゲンを回復させるには、糖質が絶対に必要なんです。

翌日のトレーニングを踏まえたアルコール量の目安と控え方(少量にとどめる考え方)

厚生労働省の「健康日本21」では、適量は「純アルコールで1日平均20g程度」とされています。これは生ビール中ジョッキ1杯、日本酒1合に相当します。

ただし、これは「健康で長生きするための量」であり、「競技力を上げるための量」ではありません。2014年の研究では、体重1kgあたり0.5g(体重77kgの人なら標準的なアルコール飲料2杯まで)なら、運動後の回復に影響することは考えにくいとされています。

私の場合、重要な大会の1週間前からは禁酒、翌日にハードなトレーニングがある時は飲まない、オフの日なら350ml缶1本までというルールを設けています。

睡眠の質を落とさないための飲酒タイミングの調整

実は、アルコールは睡眠の質を大きく低下させます。「睡眠不足とアルコール摂取量の多さには相関関係がある」ことが分かっています。

アルコールで寝つきは良くなるかもしれませんが、深い睡眠(ノンレム睡眠)の時間が減少し、睡眠の質が落ちるんです。睡眠不足では最高のパフォーマンスは発揮できませんよね。

対策としては、就寝の3-4時間前までに飲酒を終えることです。体がアルコールを代謝する時間を確保することで、睡眠への悪影響を最小限に抑えられると考えられます。

ビール好きにすすめたい代替案とリカバリー習慣

お酒が好きな人にとって、完全に断つのは難しいかもしれません。そこで、いくつかの代替案を提案したいと思います。

運動後の一杯はノンアルコールビールで代替する選択肢

最近のノンアルコールビールは本当に美味しくなりました。私も試してみましたが、運動後の「キンキンに冷えた一杯を飲む」という満足感は十分に得られます。

ノンアルコールビールは水分補給ができるだけでなく、炭水化物の供給源としても優秀だという研究があります。

運動直後はノンアルコールビール、夕食時に少量のアルコールビールという使い分けも効果的だと私は感じています。

プロでも増えている「飲まない選択(休肝日)」がもたらす長期的な身体への好影響

世界的に「ソバーキュリアス(あえて飲まない選択)」が増えています。抑えめの量の飲酒でさえ健康に影響するという新たな研究を受けて、アルコール摂取を控えるアメリカ人が増えているそうです。

WHOは2023年に「アルコールの摂取はどれだけの量かに関わらず体に悪い」という見解を発表しました。これは長年の「少量なら体に良い」という定説を覆すものです。

週に2-3日の休肝日を設けるだけでも、肝機能の回復、睡眠の質の向上、体重管理など、様々なメリットが期待できます。私も休肝日を意識的に設けるようになってから、トレーニングの質が上がったと実感しています。

試合後数十時間〜数日間のリカバリーがパフォーマンスに与える重要性

飲酒後72時間は体に悪影響を及ぼすという研究があります。つまり、重要な試合やトレーニングの3日前からは飲酒を控えるべきだということです。

プロアスリートが試合後に飲酒できるのは、次の試合まで十分なリカバリー期間があるからです。週末アスリートの私たちは、月曜から金曜まで仕事があり、次の週末にはまたトレーニングというサイクルです。

このサイクルを考えると、金曜夜の飲酒は土日のトレーニングに影響し、日曜夜の飲酒は月曜からの仕事に影響します。自分のスケジュールを見直し、「いつなら飲んでも大丈夫か」を計画的に考えることが大切ですね。

まとめ:プロの飲み方の背景を理解し、自分の目的と体質に合った選択を

ここまで長々と書いてきましたが、最終的に言いたいのは「自分に合った付き合い方を見つけよう」ということです。

プロアスリートが試合後にビールを飲んでいるからといって、私たちが同じように飲んでも大丈夫とは限りません。彼らには専門家のサポートがあり、計算された飲み方をしているからです。

一方で、「お酒を完全に断たなければダメ」というわけでもありません。テッド・ジルアード氏も「お酒を楽しむことと、フィットネスを向上させることは両立できる」と述べています。

大切なのは以下のポイントです:

  1. 飲酒のデメリット(タンパク質合成の低下、ビタミンB群の消費、脱水、肝臓への負担)を理解する
  2. 水分・栄養補給、飲酒量のコントロール、タイミングの調整で影響を最小化する
  3. ノンアルコールや休肝日など、代替案も積極的に取り入れる
  4. 自分の目標レベル(プロを目指すのか、健康維持なのか)に応じて判断する

私自身、「シャワーの後のビールを美味しくするためにジムに通っている」Athtritionという気持ちもよく分かります。でも、せっかく頑張ったトレーニングの効果を最大化したいという思いもあります。

だからこそ、この記事で紹介した科学的な知識を持ったうえで、自分なりのバランスを見つけることが重要だと考えています。完璧を目指しすぎてストレスを溜めるより、8割くらいの頑張りで長く続けられる方が、結果的には良いパフォーマンスにつながるのではないでしょうか。

あなたも自分の体と相談しながら、お酒との上手な付き合い方を見つけてみてください。そして大切な試合の前は、少しだけ我慢して、終わった後の一杯をより美味しく味わいましょう!

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